第25章 別離①(夢主side)
もう涙も感情も抑えきれなくて大粒の涙が溢れ泣きじゃくっていた。
「約束する…必ず帰ってくるから。どんなに時間がかかっても必ず葵のところに…だから信じて待ってて。僕のこと信じてくれる?」
涙を拭いながら優しく微笑んでくれた。
「……うん…必ず待ってる…ずっとずっと…」
(今はその言葉を信じよう…じゃないと心と体がバラバラになりそう……)
涙は止まらないけど何とか微笑んだ。
「ん…ありがとう。その綺麗な涙も可愛い笑顔も僕以外に見せちゃダメだよ。」
そう言われて最期のキスを交わした。
「ご武運を…」
「うん。行ってきます。」
そう告げると外に繋いでいた馬に跨がり屋敷を後にした。
私はずっと手を振っていた。
一度、輪虎が振り返った。お守りを掲げていつもの優しい笑顔で…
輪虎が見えなくなるまでずっとずっと手を振っていた…
でも、その姿が見えなくなるとその場にしゃがみ込んでしまった。
そして、この世界に来て初めて声を上げて泣いた…
抑えていた不安、悲しみ、恐怖…すべての感情が一気に吹き出した。
こんなに悲しい青空は初めてだった……