第19章 激情①(夢主side)
「なんだ…テメェ………その女は俺らが見つけたんだ。ん?お前もよく見たら綺麗な顔してるな。二人とも高く売れそうだ。」
男の一人が下世話な目で剣を輪虎に向けてきた。
「イラッとするなぁ……」
俯きながら呟く声が聞こえた。
「あっ?何だ?大人しくしてたら痛い目見ずに済むぞ。」
輪虎は改めて男達に向かい合った。
「いいよ。相手してあげる。でも、とてもじゃないけど手加減はできないよ。」
そう言って飛び出した瞬間分かった…殺すつもりだと。思わず叫んでいた。
「輪虎!ダメッ!!」
男はその場にうずくまったけど、一瞬力が緩んだようで生きていた。
するともう一人の男が震えながら言った。
「今、こいつ輪虎って…」
「へぇ…僕のこと知ってくれてるんだ。」
一歩男に歩み寄ると男達は後退りしながら話している。
「誰だよ…輪虎って…」
「お前知らないのか!?趙国三大天の一人廉頗将軍の四天王の一人と言われてる将軍だよ!!俺、趙の生まれだから聞いたことあるんだよ!ヤベエ奴なんだよ…」
男達は三人固まって震えてた。
「僕も随分有名になったね~…でも葵に手を出したことはあの世で後悔してね。」
言いながら剣を振りかぶるのが見えてまた叫んでいた。
「止めて!!」
ゆっくり振り返った輪虎は見たこともない表情をしている。
「何言ってるの?君をこんな目に合わせて許せるワケないじゃない。」
輪虎の目が本気で怖かったけど私も負けじと見つめ返した。
「私は無事だから!何もされてない…だから……」
するとふぅ…と息を吐き、怒りは収まらない様子だったが剣を下ろしてくれた。
「分かった…葵がこう言ってるから逃がしてあげる。その代わり二度とここに現れるな!」
そう怒鳴ると男達は足を縺れさせながら逃げて行った。