第19章 激情①(夢主side)
剣を仕舞うと今度は私と向き合った。
「あの…輪虎…ありがとう……」
何とかそう言って頭を下げるのが精一杯だったけど次の瞬間、聞いたことない怒声が聞こえた。
「君は…!何を考えてるんだ!!もし僕が来なかったら…間に合わなかったらどうするつもりだったんだ!!」
怒鳴られビクッとした瞬間、キツく抱き締められていた。
「ご、ごめんなさい…花を摘んで帰ろうと思って…」
「はぁ…どうして君は…一人で外に行くなって言ったでしょ?ここは君のいた世界とは違うんだから…」
抱き締める力がさらに強くなった。
「本当にごめんなさい…輪虎を驚かせたくて…」
「もう君には十分過ぎるくらい驚いてるよ…あんな怖い光景初めて見た…」
私を抱き締める輪虎が微かに震えていることにようやく気付いた。
「え……?」
「どんな戦場よりも怖かった…一瞬、君がいなくなるんじゃないかと思って…」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
ようやく輪虎が怒ってる理由が分かると涙がボロボロ流れていた。
「もういいよ…お願いだから二度とこんなことしないでね。外に行くなら僕がついて行くから。もし僕が無理なら誰か私兵を護衛に付けるから。はぁ……本当に君が無事で良かった…」
ようやく出た安堵のため息と笑顔に私も安心していた…
「さぁ、帰るよ。もうすぐ日が暮れる。」
「はい…」
ホントに申し訳なくて涙が止まらなかった。
「全く…ホント目が離せないんだから…」
そう呟く声がして泣きながら二人並んで馬をゆっくり走らせた。