第16章 恋の歌②(輪虎side)
「馬に乗ってみたい。輪虎に乗せて貰うんじゃなくて自分で乗りたいの。だから、教えて。」
まさかのお願いに驚いた。
「え?別にいいけど、どうして馬に乗りたいなんて思ったの?未来の世界じゃ分かんないけど今の中華では女で馬に乗れる人なんて女武将以外ほとんどいないよ。」
この言葉に葵も驚いている。
「そうなの?でも自分で馬に乗って輪虎と同じ景色が見たい。自分で乗って自分の目で見たいんだ。」
葵の目は真っ直ぐ前を見てキラキラ輝いていた。
「分かった。じゃあ、歌を聞いたらね。」
(君のその目が僕を捉えて離さないんだよ……)
そんな事を思っていると歌声が聞こえてきた。それはどうやら恋の歌。
その歌声に思い浮かぶのは葵…微笑みながら聞き入っていた。
歌い終わると抱き締める力を強くした。
「やっぱり綺麗な歌声だね。ねぇ…この歌ってさ…」
「うん…輪虎のことを想いながら歌ってた…」
照れて少し赤くなって俯く姿が本当に可愛い。
「そっか……ありがとう。」
そのままそっと口付けした。それは唇が触れるだけの軽いもの…
唇を離すとニッコリ微笑んだ。
「じゃあ、乗馬の練習しようか?それともこのまま続きする?僕は後者がいいな。」
「乗馬の練習しよう!!」