第12章 疑惑中。
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あの日から、早一週間。
勝己くんが来ないのは、当たり前って言えばそうなんだけど、やっぱりどこか寂しいものだった。
でも、この制度のお陰で勝己くんの家庭が少しでも明るくなるなら、これもいいなって思える。
──って、思ってたんだけど。
今まさに、勝己くんを調査中。
というのも、とある情報があって···
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ピコン、と携帯が鳴った。
そう、あれは雨の日。ゲリラ豪雨が、ここら辺を襲った日だった。
「あれ? 勝己くんのお母さん?」
珍しく、メッセージがあった。
『今日、雨宿りさせてもらったみたいで、ごめんね! 今度、またお茶しよ!』
「···え?」
いえ、来ていません、お母様。
そう、呟いてしまった。
···え? どういうこと?
雨宿りしたって言うのは、別になんとも不思議とも思わない。
だけど、友達の家に居たのなら、普通にそう伝えるはずだ。
わざわざ、私の家の名前を出すことなんて無いだろう。
···どういうこと? マジで。
「···浮気?」
突拍子もなく、浮かんでしまった言葉。
勝己くんに限ってそーんな事はないだろう···
いやでも、やましいことがあったから嘘をついた、ってことだよね?
···いや、無い無い。勝己くんが、こんなバレるような嘘、つくわけないもの。
え、でも逆になんで私の家に居たなんて言ったの?
···脳みそがキャパオーバーしそうになる。
「···浮気なの? あの勝己くんが?」
あんなに目付き悪い人に近づく女子なんて居たの?
あんなにすぐ怒鳴る人に近づく女子なんて居たの?
でも、根は優しいし···ルックスもイケてるし···
学校でも、モテてそうだしなぁ···
───私が、あんまり会わないようにしようって言ったから、痺れを切らして? 浮気!?
心臓がドクドクと速くなった。
血液が駆け巡っているのが感じ取れる。
途端、抱き締められたときの、あの、甘い香りを思い出した。
首筋に当たるチクチクの髪。
見つめる三白眼。
噛みつくような接吻。
···あれが全部、他の女の人に───
───、
···なーんだ。
所詮は、全部お遊びだったってわけ?