第1章 路地裏イチャイチャ in 団長
「ナナバ、君だ。私ではない」
「何言ってるの?皆が見てたのはエルヴィンだよ」
「違う、君だ」
「違いません。エルヴィンです」
どちらも折れない。
何故なら、どちらも変なところで頑固だから。
「ナナバ、君は可愛い」
「それはないから」
「いいや、ある」
「っ、エルヴィンはかっこいい!」
「それはない」
「あります」
二人のやり取りは徐々にヒートアップしていく。
と、そんな二人のやり取りに気付いたのか、路地裏を作り出している建物の勝手口が左右同時に開いた。
「あ、お姉ちゃん」
「こんにちは。今日もいいお天気ね」
「うん。でも…」
「……」
片方は評判のパン屋の娘。
片方は評判の花屋の女店主。
お隣さん同士、こうして勝手口から顔をあわせる事は日常茶飯事だ。
だが、今日はそこに初めて見る顔があった。
そんな"初めまして"な二人を見ては固まる"いつもどうも"な二人。
「何してるんだろ…?」
「そうね、何してるのかしら…?」
「……」
「……」
「ちょっと観察しちゃう?」
「そうね、しちゃいましょうか」