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あの日、あの時、路地裏で。

第6章 おまけ





………

……





「なるほど」



後から来たナナバに、

モブリットから避けられていること。
どうやら路地裏でのキスが問題らしいこと。
そしてその事を確認したくてモブリットを追いかけ回していること。

ハンジは一気に、捲し立てるように話して聞かせた。



「ね、別におかしな事なんて何もないだろ?」


「ハンジ…おかしい、おかしくない、じゃない。というかだな、追いかけ回していたのか…」


自分との会話では出てこなかった新事実に、これまた『はぁ…』とため息をつくエルヴィン。

(全く…本当に一筋縄ではいかないな)

いつの間にか、頭の中はハンジとモブリットの事でいっぱい。隙間すら二人の事でいっぱい。

だから、すぐ隣、そっと机を回り込んではエルヴィンの傍らで前屈みになるナナバには気が付かない。





ちゅっ






あっという間に。


「エルヴィン顔真っ赤だー!!!」


「ハンジ、こういうことだよ」


「そっか…こめかみか!」


「違う。けど、まぁいいや」
「きっとね、モブリットは驚いたんだと思う。だから…暫くは追いかけ回すの禁止」


「うぅむ……
 ナナバがそう言うなら」


「はい、じゃこの話はここまで」
「エルヴィン団長、こちらお探しの資料です」



ナナバは持っていたファイルを机の隅に置く。
ハンジも無事書き終えた書類を反対の隅に提出すると、二人へと礼を述べながら団長室を出ていった。



と、エルヴィンは真っ赤な顔のまま、正面を向いたまま、ファイルの上に添えられたナナバの指先をそっととる。


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