第6章 おまけ
そりゃしてる。
当然だ。
と、でかかったところで何とか飲み込む。
「……君達と私達では、少々異なる」
「何が?ていうか、エルヴィンとナナバはもっと凄いコトしてるのに仲良しじゃない!」
「っ!随分と、はっきり言ってくれるな…」
やれやれ、といったエルヴィンのため息は聞こえていないのだろう。
『何でほっぺたにチューだけで…』と、腑に落ちない、という表情を隠そうともせず、執務机の向こうから何で何でと繰り返す。
「………(これは、中々に手強い…)」
変わり者だが頭は切れる。
この評判に嘘偽りはない。実際、ハンジは兵団になくてはならない存在だ。
ただ、"こっち"方面に関しては…
(疎いのか鈍いのか、それとも本当に分からないのか?)
じっと眼鏡の奥を覗きこむ。
(…まさか…)
分かってやっているのか?
(………)
何となく一筋縄ではいかないのではないか、という予感がよぎるが、とりあえず無理やり端においやる。
コンコン
「「!!」」
完全にお互いへと意識がいっていた二人。
まるで不意打ちのように聞こえたノックに驚く。
勿論、訪れた人にそのつもりは微塵もないが。
「ごめん、驚かせたかな。
開いてたから大丈夫かと思って」
エルヴィンとハンジ、二人同時に見た先では扉の隙間からナナバが顔を覗かせていた。
「ふふ。仲良いね、見つめあっちゃって」
「そう?でもナナバ程じゃないよ。
ってそうだ!ちょっとこっち、こっち~!」
何か興味あるものを語る時の興奮した表情で、ナナバを手招きするハンジ。
そんなハンジにむけ小さく頷いたナナバは、団長室へゆっくりと入ってくる。