第3章 season
「なぁなぁ、来年もこれに出ようぜ!」
そう言ったのは、雪ちゃんだった。
雪ちゃんが手に持っていたのは、『最強バンド決定戦!!』という大会のチラシだった。
「最強バンド決定戦…?これって、どういう大会なの?」
疑問に思った私は、晴花に聞いた。
「この大会は略して『SBK』とも呼ばれたりしてるんだけど、その名の通り一番すごいバンドを決める大会だよ!」
「へぇ~、そんな大会があるんだ!」
「優勝したら、CDデビューと音楽番組に出演することが約束されているんだ。」
「CDデビュー?!テレビ出演?!」
(すごい…、これで優勝したら歌手になれるのかな。)
「でも、なかなか厳しくてね…。」
と、晴花がそう言った。
3人でバンドを結成してから、何度も応募しているが、いいところで二次審査までしかいけず、最終審査の決勝戦の前にはいつも敗退してしまうのだという。
「…でも、ミュージシャンになりたいから!」
「うん、何回でも挑戦する!」
「しかも、今回からはひまちゃんも加わったしね。」
「ぅえ?!私?」