第1章 プロローグ
「エントリーナンバー5番、木野ひまわりです。」
私の前には3人の審査員が並んでいる。
今日は、オーディションの日だ。
「木野さんね…、確か歌手志望だったよね?」
「はい、そうです!」
「ちょっと、歌ってみてくれるかな?」
私は歌手になるのが夢だ。
でも…、
「…♪~♪♪~」
「はい、ありがとう。うーん、なんか曲に対する想いが伝わってこないね…。」
(曲に対する想いか…。)
私は素直に審査員の人の話に耳を傾ける。
「~~~、~~。んじゃ、向こうの控え室で待っててね。」
「はい、ありがとうございました。」
パタン。
「はぁ…、今回も不合格か…。」
私は、溜め息混じりにそう言った。
これでオーディションは何度目だろう?
しばらくすると、控え室で合格者が呼ばれ拍手でたたえられていた。
もちろん、その中に私の名前はなかった。