第9章 「SBK」~決勝戦~
「はぁ…はぁ…。」
晴花は肩で息をしている。
その様子から、病院から飛び出してきたと分かる。
「は、晴花…。本当に晴花なのか…?」
雪ちゃんは恐る恐る聞く。
「あったりまえよ!はぁ…はぁ…。」
(晴花、晴花助かったんだ…!良かったぁ~。)
私達は晴花の無事な姿を見て、安心した。
晴花は息を整えてから、私達に言った。
「心配かけてごめんなさいっ!
でも私はこの通り大丈夫だから、心配しないで、最高の演奏を見せてよ!」
「晴花…!」
「晴ちゃん…!」
「あ、ありがとう…!晴花…、みんな…!」
「ひま、お前声が!」
「え?あ、ほんとだ。声出てる…!」
私はいつの間にか、声が出るようになっていた。
泣くつもりはなかったが、涙が流れる。
「泣くのは、まだ早いよ。ひまちゃん。」
「あっきーの言うとおりだよ、ひまたん!」
そう言って、ニコッと笑う晴花。
「頑張れ~!」
「ひまわりちゃん、頑張れ~!」
「「「season頑張れ~!!」」」
いつの間にか、会場は私達への応援の声で溢れかえっていた。
(わぁ…!)
きゅっ
「え…?」
気がつくと左手は秋ちゃんに、右手は雪ちゃんに優しく握られていた。
「ひまちゃん、大丈夫。絶対できるよ!」
「オレもついてるし、晴花もついてるから!」
2人のは表情には、諦めていた様子はもうなかった。
「ありがとう、みんな…!」
私はくったくのない笑顔で答える。
(私は、なんて素敵な友達を持ったのだろう。
みんなに何度救われたことか…。)
「ふぅ…。」
私は一呼吸おき、みんなに合図をおくる。
「秋ちゃん、雪ちゃん、今までで一番の最高の演奏をしよう!」
「おう!」
「当たり前だっ!」
そして、雪ちゃんの合図で演奏が始まった。