第2章 全ての終わりと始まり
心の傷が癒えないまま、淡々とした日々を過ごしていたある日、大家さんに呼ばれ、家に招かれた。
居間に通されると、テーブルの上に小さなケーキが用意してあった。
「ずっと辛い想いをしてそうだったから、せめておじさんができる事をしてあげたいって思ったんだけど、若い子の好みが分からなくて、コンビニでケーキを買うぐらいしか出来なかったよ。」
少し照れ臭そうに笑う大家さんに美桜は、
「いつも心配してくれてありがとう御座います…嬉しいです…」
と、涙を流した。
あたふたしている大家さんを見て、ふふっと笑い2人でケーキを食べた。
久し振りに、触れた人の優しさに少しづつ、気持ちも落ち着いてきていた。
週に2回ぐらい大家と一緒に話をしたり、食事の買い物を一緒に行ったり、いつしか美桜は、父親ってこんな感じのかな?と思うようになっていた。