《おそ松さん》ただただ望んでいた《夢も現も崩壊系ストーリー》
第9章 戸惑う、俺…
おそ松は反対するような態度は示さなかった。彼が敵対心を見せる時は、自分に損害が及ぶ可能性がある時くらいだ。まずは、2人で直接会って挨拶をしてこいということか。
俺は十四松の後を追って走り続けた。何分かは経っているだろう。しかし、多くの人が行き交う街の中で、はぐれた十四松とまだ見たこともない○○を見つけるというのは普通に考えて至難の業だ。
普段、どこでどのように何をして鍛えているのか分からないが、十四松のあの体力と足の速さは尋常じゃない。
俺は乱れた息を整える為、1度足を止め休憩した。
やはり、そう簡単には見つかるわけが………
「ブゥゥゥゥゥンっっ!!!」
この声。
聞き覚えのある声。いや、聞き飽きた声。
顔を上げ遠くを見やると向こうから黄色い物体が、誰かを抱えて走ってきている。
間違いない、○○だ。
カ「おーい!!十四松ー!!!」
十「うぁーお!カラ松にいさーん?」
俺に気づいたようだ。またてっきり無視されるかと思ったから正直、安心したというか。ちょっと嬉しい。
十四松は近くまで来ると、キキーーッと音を立て急ブレーキをかけたもんだから○○はびっくりしていた。十四松の服をぎゅっと掴んでいる。
十「どうしたの?カラ松兄さん!」
カ「お前を探しに来たに決まってるだろう。1人で行かせて、逆にお前が迷子になったらどうするつもりだ?」
十「あう…ごめんなさい」
カ「あと、○○…ちゃんを、乱暴に扱うのは良くないぞ。俺達、まだ初対面なのに」
十「あーーーそだ!!!!ごめんなさい!!」
俺が注意すると、十四松は○○を急いで下ろした。
そして深々と土下座した。
彼は、良くも悪くも純粋な男だ。
○「いや、大丈夫っ!んーとね…平坦なジェットコースターに乗ってるみたいで、楽しかった!もう歩けるようになったし、ありがとうね」
十「…っ///あいっ!」
○○は十四松ににっこりと笑いかけた。
思わず見とれてしまった。
しかしその顔は俺の方にも向けられ、
自然と目と目があう。
○「あ、はじめまして…でいいのかな?私、○○っていいます!」
カ「ああ…俺は松野カラ松…。ブラザーから○○、ちゃんのことは聞いていたさ」
そう言うと、○○の目はまたたくまに輝いた。無邪気な子のように、くるくると表情が変わっていく様に目が離せなかった。