第5章 【世にも淫猥な御伽草子】白雪姫ver.
読者の皆さん、こんにちは。
ようこそ『世にも淫猥な御伽草子』の世界へ。
第一回目の『赤ずきん』に引き続き、第二回目は『白雪姫』をお届けしたいと思う。
ナレーションは俺、猿飛佐助だ。
至らない点も多いかと思うけど、多少は目をつぶってほしい。
それでは、めくるめく官能童話の世界へ。
イケメン戦国版白雪姫、スタートです。
*****
むかしむかし、あるお城に女王様が住んでいました。
女王さまが黒檀の枠でできた窓辺でぬいものをしていて、指を針で刺してしまい……
積もった雪に真っ赤な血が落ち、綺麗に見えました。
それを見て女王様は『雪のようにからだが白く、血のように赤い美しいほっぺたをもち、黒檀のように美しい黒髪の子がほしい』と願いました。
しばらくして……
生まれた子どもがまさにそのような子どもでした。
そこで女王様は『白雪姫』と名付けました。
……余談だけど、これが白雪姫の名前の由来だ。
豆知識程度に覚えておくのもいいかもしれない。
このお姫様が生まれると、女王様は亡くなり、代わりに継母が来ました。
継母は美しい人でしたが、自分よりほかの人が美しいと、じっとしていられない性格で。
この継母は『違う意味で』じっとしていませんでした。
『白雪姫』の物語はここから始まる──……
「おーい、鏡よ鏡。この世で一番美しい天女は、今頃どうしてるかな?」
今日も継母は魔法の鏡に話しかけます。
すると魔法の鏡は呆れたように、言葉を返しました。
「信玄女王様…はなから話が変わってますが」
「いいんだよ、佐助。俺よりも白雪美依姫の方が美しいのは決まっているからな」
「この人の継母は若干無理があるな…あ、ちなみに俺、猿飛佐助はナレーションと二役なのであしからず」
「誰と話しているんだ、佐助。それよりも姫だ、俺の天女はどうしてる?」
にっこりと微笑む継母信玄に対し……
鏡佐助は、ぼそっと無感情のような口調で答えました。
「……逃げましたよ、彼女」
「なんだって?!」
「お母さんに迫られるなんて辛い、私は自分だけの王子様を探しに行くと言っていました…自業自得ですね、信玄女王様」