第37章 〖誕生記念〗焦れる想いを濃紺の冬空に咲かせて / 徳川家康
「じゃあ……行こうか」
そのまま手を繋ぎ、二人で部屋を出る。
まずはどこから行こうか、あの呉服屋か、それとも……なんて話をしながら。
それだけで、満たされる心地がする。
あの誕生日に根付いた生命は、また俺に幸福を呼び込むのだろう。
それは、まだ見ぬ知らない現実。
もちろん不安もあるけれど……
あんたとなら、大丈夫だと信じられるから。
春の来ない冬はない。
春になれば花は芽吹き、そして……
いつしか実を結ぶ。
夏になったら、きっと花火が上がるね。
その時きっと、あの夜を思い出して、二人で笑うのだろう。
その時は、お腹も膨らんでくるかな。
楽しみだね、未来が。
あんたと子どもがいる…そんな日が。
心が透き通る感覚がする。
芯まで、すんなりと想いが染み渡って……
そしてまた、真っ赤に燃えるように染まる。
美依がくれた大切な『贈り物』は、俺が必ず守ってあげるよ。
俺の心には、あの日の花火が煌めく。
俺の想いと重なって───………
また鮮やかに、深愛の花模様を描くのだ。
【誕生記念】焦れる想いを濃紺の冬空に咲かせて
ー了ー
☆。*··°Happy Birthday°··*。☆
Tokugawa Ieyasu