第34章 〖誕生記念〗長い一日の終わりに温もりを寄せて / 石田三成
「ぁっあっ…三成、君……っ」
「んっ…どうしました?」
「そこ、ばっかり、したら……!」
「ああ…他も触れてほしいのですね。少し、お待ちください」
その言葉を聞き、美依様の背中に手を回して、しゅるしゅると帯を緩めた。
そのまま帯を引き抜き、腰紐を解いて着物も襦袢も脱がせていると…
美依様が少しだけ恥ずかしそうに、私の顔を見ながら小さな声で言った。
「できたら、そのっ…褥のがいい、かな」
「あ、そうでした…すみません」
(気持ちが急いで、うっかりしていましたね)
宴から帰ってきて、すぐさま求めて…
まだ畳の上で触れ合っていたのだと、今さらながらに気がつく。
私は苦笑しながら美依様の躰を抱き上げ、そのまま褥へと運んだ。
柔らかな布団に躰を横たえて、改めて覆いかぶさり、指を絡めて縫い付けて。
見下ろしたら、また神経が高ぶった。
綺麗な躰、それを見ているだけで…
躰中が疼き、ぞくぞくと痺れるように欲情していく。
「美依様は…本当にお綺麗ですね」
「あ、ありがとう……」
「こんなに愛しい貴女を贈り物としてもらえるなんて…幸せ過ぎておかしくなりそうです」
「私も、幸せだよ?」
「ありがとうございます、美依様」
「私こそ」
視線を絡め合い、そしてまた唇が重なった。
二つの躰も重なって…
障子に、交わる艶やかな月影を映していく。
着物を脱ぎ捨て、生まれたままの姿で触れ合って、抱き締め合う。
愛しい貴女がさらに愛しく思えて、結び合える喜びに浸れば、酷く快感だ。
────貴女を、本当に愛していますよ
とても寂しかった今日。
お顔を見れないだけで…
こんなに己が左右されるのだと知った。
やはり、私は貴女がいないと駄目なようだ。
どうしてもその笑顔を見て、肌に触れて…
そうしなければ、安寧を保てない。
『三成君』
そして、その声までもが私を焦がす。
鈴を転がすような、優しい音が…
私の成分と共和して、愛しさを生み出す。
だから、ずっと傍にいてください。
どうか、もっと私を困らせて?
貴女で満ちるなら───………
それは、至極の幸福なのだから。