第32章 〖誕生記念〗蛍火、恋空に瞬け / 伊達政宗
「あっ…も、らめぇぇ………っっ!」
「ぁっ…きつっ……っ………!」
────びゅくっっ
美依が一際甲高い啼き声を上げ、中をきつく締め上げたので、堪えきれずに俺も精を吐き出した。
息を詰め、小さく唸って腰を震わせれば…
我慢していた白濁とした欲望が、一気に美依の腹へと流れていく。
眩暈がする程の快感、頭が真っ白になって。
ああ、堪らなく気持ちいい…そんな感情のまま、昂りを引き抜く事もせず、美依の上で脱力した。
「最っ高だな…」
「……政宗」
「ん……?」
互いに荒れた息を整えていると、美依が小さく俺の名前を呼び、するりと頭に手を伸ばしてきた。
そのまま眼帯の紐に手を掛ける。
しゅるっ…と音がして、それが解け。
眼帯が美依の手で外されると、美依はそーっと優しい手つきで俺の傷に触れてきて。
そして───………
「……っ」
顔を少し上げ、俺の右目に口づけてきた。
柔らかな熱が、その敏感な場所に移って…
思わず面食らってしまうと、美依は穏やかに微笑みながら、俺に向かって優しく言葉を紡いだ。
「お誕生日おめでとう、政宗」
「美依…」
「もう日付越えたから言ってもいいよね。私、政宗の誕生日を一緒に祝えて嬉しい」
「……」
また、指先で俺の右目に触れる。
まるで愛おしむように、壊れ物にでも触れるみたいに淡く。
「政宗は過去に色々あって、それを乗り越えてきて…たくさん辛い思いもしたから、これからは一緒に幸せを作っていけたらいいな。────愛してるよ、政宗」
「……っ」
「これからも…ずっとずっと、よろしくね」
(何だこれ、なんて答えれば…)
息が詰まって、感情が言葉にならない。
胸が苦しいほどに、満たされている気がする。
美依の優しい優しい愛情。
こうして俺の傷に触れて、笑んでくれる強さ。
だから、こいつには敵わない。
俺は、美依に出会えて良かった。
一生の宝物を手に入れられたから。
こいつがこうして笑っていてくれるなら…
俺の人生、もう足りないものは無い。
そのくらい、愛してる。
だから、もっと俺に愛されろ。
お前は…たった一人、唯一の女だから。