第31章 〖誕生記念〗煌めく一番星に想いの華を / 真田幸村
「お前も思い出せるように、付けてやる」
「え……?」
「コレ」
すると、幸村は私の鎖骨のすぐ下に、少し強めに吸い付いた。
見なくても、解る。
多分…くっきりと赤い華が咲いたことだろう。
幸村はそれを見て、満足そうに笑み…
そして、額同士をくっつけて囁いた。
「コレ見て俺を思い出せ。それで寂しがらずに待ってろ、すぐに帰ってくるから」
「うんっ……」
「そしたら、改めて誕生日を祝ってくれ。まぁ…今ももう日付け変わって七日だけどな」
「あ、そっか!」
「気づくの遅すぎだろ、お前」
少しだけ意地悪そうに笑う幸村。
そんな幸村を私はぎゅっと引き寄せ…
そして、精一杯伝える。
生まれてきてくれた感謝と、それから。
『大好き』っていう、溢れる想い。
「お誕生日おめでとう。幸村…ずっとずっと愛してる、これからもお誕生日のお祝いさせてね。来年も再来年も、この先ずっと」
「…おー」
「え、それだけ?」
「言葉じゃ伝えきれねーから、コッチで」
幸村はまたゆっくり律動を始めた。
嵩を増した、その滾った熱で。
私もまた、その快楽に飲まれて、嬌声が止まらなくなる。
抱き締めて、抱き締められて…
私達はまた心も躰も混ざって溶けるんだ。
────もう、分かつのが難しいくらいに
「ぁっぁんっ…ゆ、き……っ」
「美依…っもっと呼べよ……!」
「幸村…幸、幸っ……!」
「ん…イイ、お前に呼ばれんの」
『初めから敵だと知ってたとしても、
俺はきっとお前に恋した』
あの時、木の下で。
幸村が言ってた言葉を思い出す。
本当に、色々あったね。
私達の恋は、前途多難だった。
それでも、今一緒にいる。
『一緒にいたい』って言う強い想いが…
きっと、私達を結びつけたんだ。
今は乱世。
戦は絶えない世の中。
これからも、何度も貴方を見送るのだろう。
その度に、私は不安になるのだろう。
誕生日が祝えなかったり、傍に居られなかったり、当たり前の幸せは難しい時もある。
それでも───………
こうして抱き合って、気持ちを合わせて。
この乱世にしかない、掛け替えのない幸せを積み重ねていけるよね。
ねぇ、幸村?