第29章 〖誕生記念〗想ウ、君ノ名ハ【後編】/ 徳川家康
「もう、離さないよ…美依」
「いえや……」
「しー…黙って」
そのまま唇を重ねれば、身体が柔い熱を帯びた。
抱き締める腕にも力が籠って……
もう二度と離すまいと。
この愛しい存在に、全身全霊の想いを伝えていく。
────愛してる、美依
あんたを、あんただけを……
遠回りをしたね
不器用な俺達は……
誰を想っているかも解らずに
たくさん周りを傷つけたね
でも────…………
間違った分、たくさんあんたを愛すよ
この身に誓って、
もらった誕生日プレゼントは……
どんな物より尊い宝物
『俺のマンション、行こ』
『家康……っ』
『今度は…ちゃんと甘やかすから』
『……っ』
『いいよね……?』
『誕生日プレゼントだもん、好きにして』
芽吹くには、まだ早い季節。
それでも、俺達は花を咲かせた。
想いという、薄紅の花を。
たくさん回り道した分、
目いっぱい幸せになろう。
それがきっと……
傷つけた人達に返せる事だ。
今日は俺の誕生日。
もらったものは、返さないよ?
これからとろとろに溶かしてあげるから。
想う、あんたの名を、
飽きるほどに呼び続ける。
そんな日々が始まるのだと──……
幸せな未来に思いを馳せて、
この腕いっぱいの愛を抱き締めた。
想ウ、君ノ名ハ
了
☞♥ᕼᗩᑭᑭY ᗷIᖇTᕼᗞᗩY♥☜
Ieyasu Tokugawa