第27章 〖誕生記念〗想ウ、君ノ名ハ【前編】/ 徳川家康
────あんたの事
忘れた時なんて…無かったよ
淡い恋心は、いつしか灼熱となって
この身を焼き尽くすのか
寒い、凍てつくような冬
あんたを温めるのは俺じゃなくていいと
そう思っていたはずなのに……
何故だろう
止まらない、
俺が、
想いが、
また俺は、
あんたと『無かった時』を刻むのか?
お願いだから、このままで。
そう願った寒い夜は、これからの生活が変わっていく、そんな序章のように思えた。
「美依…好きだよ」
誰も聞いてない告白は、部屋の空気に溶けて消える。
俺の想いも……
こんな風に消えてしまえばいいのに。
そしたら、何も辛くないのに。
美依の身体を這う手を止める事をしないまま、繰り返される時に、俺は酷く眩暈のするような感覚を覚えた。
いつかの誕生日。
忘れられない…記念日。
今年もまたやってくる。
運命はまた巡るのか?
それすらも解らない、
そんな俺の誕生日まで、
あと、10日────…………
想ウ、君ノ名ハ【前編】
了
想ウ、君ノ名ハ【中編】
に続く──……