第3章 〖誕生記念〗揺れる桔梗と初染秋桜《後編》/ 明智光秀
「その贈り物、喜んで貰ってやる。褥に行くか?」
「あ、じゃあ今襦袢も脱いで……」
「駄目だ」
「え?」
「脱がすのは俺の役目だろう?……おいで、美依」
「ひゃっ……」
ひょいと横抱きにすると、美依は急いで首に捕まりながら、素っ頓狂な声を上げた。
お前の初めて、味わわせてもらうぞ。
痛くないように、ゆっくりトロトロに蕩かして…
存分に甘く啼かせてやる。
「優しくするよ、美依」
俺がそう言うと、美依は恥ずかしそうに笑って、小さく頷いた。
極上の贈り物は、柔らかくて温かくて。
そして、羽のように軽い。
俺は、その愛しい女を褥に運びながら、脳内が麻痺するほどの興奮を覚えていた。
ようやく、この手に抱ける悦び。
もう、歯止めが効かなくなりそうな……
そんな危うい予感すら覚えて、若干臆病になるほどに。
*****
────なぁ、美依?
お前は俺に一瞬で惹かれたと言っていたが、
それは俺の言葉が、お前の心に突き刺さった証拠なのか。
俺は的を射るのは得意だが、人の心は難しいから。
少しでもお前の心を貫いたのなら、
俺はあの時、正しいことをしたんだな。
可愛い、美依。
お前は…本当に可愛い。
染めたかった、お前を。
真っ白なお前を、俺の手で。
────淡い薄紅色に、淫らなまでに
「はぁっ…んっ、ぁっあっ…みつ、ひで、さんっ…」
ちゅっ…じゅるっ、ぴちゃっちゅうっ……
いやらしく啜る音に混じって、美依の熱く儚い吐息が漏れる。
ぐずぐずに蕩かしてやろうと、躰全体に唇を這わせ、口づけて…
そして、気持ち良くなった証として垂れる、その蜜を十分に堪能する。
勿論、美依に男から与えられる快感を覚えてほしいからで。
まぁ、与えるのはこの先も俺だけだが。
こうして唇と舌で愛撫されれば、躰がどんな反応をするのか……
それが解れば、もっと気持ち良いから。
(もっと溺れてしまえ、俺に)
それを願いながら、美依の濡れた蜜口に舌を這わせる。
そのたびに美依はビクビクと躰を震わせ、脚の間にある俺の頭を、手で必死に梳いてきた。