第23章 〖誕生記念〗一花繚乱、瑠璃色の蝶 / 伊達政宗
────自然と絡み合った躰が熱を帯びる
ああ、零した所、片付けなきゃな。
それは解っていたけれど、火照った躰はどうしようもならなくて。
結局、欲望のままに突っ走り、初めて美依を甘く啼かせた。
それは中毒にさせる、合図だったのかも。
一回美依を抱いてしまったら、気持ちに歯止めが利かなくなって…
夜の宴になっても、心ここに在らずの状態だった。
早く、もう一度美依と繋がりたいと。
馬鹿みたいに、そればかり考えて。
溺れさせるつもりが、反対に溺れるなんて。
そんな気持ちを抱えたまま、俺を祝う祝宴は過ぎていったのだけれど──……
*****
(どこ行ったんだ、美依のやつ…)
宴も終盤に差し掛かり、いつの間にか美依の姿が消えていたので、俺は広間から抜け出し、探しに出ていた。
安土城で執り行われた、誕生日の宴。
それはそれは賑やかで、温かな祝いの品や言葉をもらったりして…
また、記憶に残る、大切な日になった。
だが、気がつけば美依がいない。
そして…光秀もいない。
何となく嫌な予感がして、速攻探しに出た。
もう『止める権利は無い』なんて言わせない。
────美依は、俺のもんだ
「……そうか、良かったな」
(ん……?)
廊下の角に差し掛かった時。
角を折れた向こうから、聞き慣れた低い声がして、俺は足を止めた。
そのままそっと聞き耳を立てると…
これまた聞き慣れた、柔らかい声が『はい』と返事をしたのが解った。
「昼間は本当に悪かったな」
「いえ、大丈夫です。私も拾ってもらって助かったので…」
「あの宴で付けていた、新しい眼帯か?」
「あ、そうです」
(光秀と、美依……?!)
その声の主達に辿り着くのは一瞬だった。
そして、考えるより先に、身体が動いた。
俺は早足でその角を曲がり、視線に二人を確認すると、近づいてすぐさま小さい片方を腕の中に捕らえた。
羽織の中にすっぽり美依を隠して…
そして無言で光秀を睨むと、相変わらずの腹の読めない笑みを浮かべ、光秀が口を開いた。