第21章 〖誕生記念〗愛され兎と真紅の『かれし』/ 織田信長
────愛しい者に、最上の愛を注ぐ
生まれてきて、これほどの幸福を、
味わうとは思っていなかった
そして、生まれた日が
これほど愛おしい日になるとは……
それは貴様が俺にくれた温もりだ
花の芽が芽吹くように
俺の心に芽生えた想いは
いつしか眩いほど鮮やかになって
俺を至極の幸せへと導く
もう二度と離しはしない
離れる事など出来ない
一生、死ぬ迄
貴様を愛し抜くと誓おう
「おい、美依」
「んんー…のぶ、さまぁ……」
「起きたら覚えていろ、今日は天主から絶対出さぬからな」
その腕に温もりを閉じ込めて、
一生、幸せを分かち合う。
貴様の『かれし』の特権だ。
小さな背中を掻き抱いて、幸せに満ちる。
俺は美依の肩に顔を埋めながら、また目を閉じた。
柔らかな日差しが身体を照らして。
二つの影が、交わるように天主の中に落ちていた──……
〖誕生記念〗愛され兎と真紅の『かれし』
了
・° ♬︎ Happy Birthday ♬ °・
〜Nobunaga.Oda〜