第21章 〖誕生記念〗愛され兎と真紅の『かれし』/ 織田信長
『もう、信長様なんて知りませんっ…!』
────きっかけは些細な喧嘩だった
私は、貴方に隠しておきたくて
でも、貴方は隠す私が許せなくて
『俺には、貴様が解らん』
『私だって、貴方が解りません!』
『……知らんと言うならもういい』
『……っ、もう失礼します!』
そう言って、私は天主を飛び出した。
次の日、信長様は公務で安土を離れた。
すれ違ったまま…
私と貴方は、遠く離れてしまった。
こんなに寂しくなるなら──……
喧嘩なんてしなければ良かったな。
後悔なんて、したって遅い。
どんなに貴方が私を大切に思ってくれてるか
それは私が一番良く解っていたはずなのに。
信長様、ごめんなさい。
貴方に隠し事をして、ごめんなさい。
きちんと理由を話すから、
私に謝るチャンスをください。
───………早く帰ってきて、信長様
想いばかりが募っていく。
そんなほろ苦い気持ちを抱えたまま…
いつしか訪れた、貴方の誕生日。
貴方と私が出会って恋をして、
幾度目かの、貴方の誕生日──……