第8章 【Twitter企画】淡紅姫-泡沫に燃ゆる-/ 豊臣秀吉
────俺は、お前の全てが欲しい
ずっと考えてた
お前に口づけたら、どんな顔をするのか
お前に触れられたら、どんなに幸せか……
もう、妹なんかに見れないから
お前が妹だったら『こんな事』したりしない
浅ましい俺は、お前を喰いたい、ただの獣だ
それでも──……
もし、受け入れてくれるなら、
俺はお前を一生大切にする
いつも傍に居て、抱き締めて
疼く時にはいつまでも抱いててやる
なぁ、美依
いつから『そう』だったんだ?
どれだけ……癒しを求めてた?
俺が癒してやるから……来い、美依
俺に全て任せて、安心して委ねてろ
ただひたすらに、淡く紅色に染まる夢を
俺が見せてやるからな──……?
「はぁっ…はぁっ……ぁっあっ……」
にちゅっにちゅっ…にちゅっにちゅっ……
行燈が薄暗く灯る、俺の御殿の自室。
その障子に薄ぼんやり写るのは、浅ましい俺の影だ。
部屋中には、いやらしい粘着質な水音が響いて……
それは、悲しくも己の熱をを己自身で慰めている、その証拠に違いなかった。
────もう、季節は晩秋に差し掛かる
色付いた紅葉も次第に落ち始め、道には落ちた紅葉で、紅い絨毯のように鮮やかになっていることも少なくない。
風も冷たくなってきたし……
そろそろ冬支度の準備もせねばならない、そんな季節の変わり目だ。
俺は相変わらず、信長様の腹心として切磋琢磨する毎日。
それはあの方が天下を取るまで、終わらない道程だ。
だが──……
最近の俺は、少しおかしい。
毎夜のように身体が芯から疼いて、それから逃れるために、俺は『俺自身』を馬鹿みたいに慰める。
疼く原因は、解りきるほど解っていた。
どんなに俺が認めたくなくても。
好きな女を想ってしまうから……熱が蝕むんだ。
「ぁっ…美依っ、美依っ…もっと……!」
俺は今日も愛しい女を頭に描きながら、猛った雄を扱いていく。
握りしめて、何度も何度も擦りつける。
そうして生まれる直接的な刺激は、まるでその女と交わっているかのような錯覚を覚え……
唇からは、無意識にその名前が零れ落ちた。
きっと愛しい女は、腕の中に居ると信じて。
届くはずのない『もっと』を、ひたすらに懇願したのだった。