第6章 ※ニオイニサソワレ
「これ、清香の筆だよね?俺のとこにあったから届けようと思って…寝てたかと思ったんだけど、灯りがついてたから」
そう言って、懐から小さな猫の絵が入った筆を取り出した
「あ!私の!わざわざありがとう」
「じゃあこれで」
「あ、待って!」
部屋から出ていこうとした家康を、清香は慌てて引き止めた
「何?」
「これ…私も家康のところにいこうか思ってたの」
「あ、これか…もう読んだの?」
清香は家康に返そうと思っていた2冊の書物を渡した
「うん、読んでたら遅くなっちゃって…へへへ」
少し恥ずかしそうに、頬をポリポリとかく清香
「ふーん…ねぇ、さっきから気になったんだけど、この匂いは何?」
「匂い?あ、もしかして香水のこと?」
「香水?」
「そそっ…これこれ」
清香は机の上に置いていた信長から貰った瓶を見せた
「だからこんな匂いするんだ…」
「い、家康?」
家康は身体を傾け、清香に近づいた
(こんなに男を誘う匂いを漂わせて…)
家康は清香の髪を肩から払って、首筋に顔を埋めた
吐息が首筋にかかり、ぞくりと背中を震わせた
「何するの?家康…あっ…」
家康は露出された首に舌を這わせた
夜着の衿元をずらして、右肩を露わにした