第5章 ジョウカヘ
「ん…あれ…ここって…?」
小鳥の囀りと朝日の光によって目を覚ました清香は掛け布団から上体を起こした
「あ、私昨夜確か…信長様と…あ"ぁ"ぁ"ぁ"…」
寝ぼけ眼を擦りながら、昨日の情事を思い出し、顔を赤くし褥に埋めた
(信長様にどんな顔で会えばいいってのー?!)
仕方がないと思うように、褥から出た清香は折り畳まれていた夜着に腕を通し、自室へと早足に掛けて行った
部屋に入り、まだ火照る身体を抑えるかのようにシャツとスカート、靴下を履いた
「別に隠してるわけじゃないけど…やっぱり、見られて良いものじゃないしね」
そう言い、靴下の上から傷跡をなぞった
(信長様は見たのかな…出来る事なら聞かないで欲しい…)
「そういえば、昨晩の夜伽で見た、貴様の脚の傷痕はなんだ?」
「……信長様ー?!なんでそれを皆さんの前で聞くんですかー?!」
清香の願いは虚しく、朝餉の時刻に、更に皆が集まる広間で問いた
「何を言う?貴様は聞くなと言っていないだろう」
「そこは空気を読んで聞かないのが普通でしょう?!」
「昨夜は貴様が夢中だったから聞くのはやめたんだが──」
「やーっ!言わないでー!!」
信長の言葉を遮り、追求を阻止した
「清香、傷跡とは一体なんだ?」
「えっと…それは」
秀吉は目を清香に向け、追求を再開させた
「もしかして、そのおかしな格好はそれを隠すためとか?」
さらに家康は鋭く指摘した
この前の仕返しだろうか?