第1章 暗闇の中でも
「君にいかで 月にあらそふ ほどばかり
めぐり逢ひつつ 影を並べん」
『毎晩出逢える月と競い合うほど、毎晩あなたとめぐり逢って、一晩中寄り添っていたい/西行/山家集』
「我も人も あはれつれなき夜な夜なに 頼めも止まず 待ちも弱らず」
『私もあの人も待つも待たれるも、なんとまぁつれない夜ごと夜ごとなのに、やはり頼みに思わせる心は止まず、また待ちながら、待って弱るという事が無い。これが恋なのでしょうか/永福門院/風雅和歌集』
「我が恋は 行方も知らず果ても無し 逢ふを限りと思ふばかりぞ」
『私の恋はどこへ行くのか、どんな結末になるのか分からない。ただ、愛しい人と逢える事だけが、今の私の念願なのです/凡河内躬恒/古今和歌集』
ヒロインちゃんが口ずさむ都々逸は、江戸末期に流行っていたモノの1つです。