第48章 嫌疑と再会
ー翌朝ー
クレアはいつもの時間に目を覚ました。
トロスト区内の遺体の回収班は集合が早いが、馬回収班は通常の訓練開始と同じ時刻で指示が出ていた。
「………」
ペトラはもう今頃作業に取り掛かってるだろうか…
遺体回収は駐屯兵や訓練兵も合同で行われると言っていた。大人数且つ短時間で終わらせないと2次災害の危険が大きくなるからだ。
いつもの時間に目は覚めたがリヴァイは内地にいて不在。
そしてハンジもモブリットも朝一で内地に戻らなくてはいけないと言っていたためもう自室にも執務室にもいないだろう。
となると、少し時間が余裕ができてしまったが、生憎デイジーもローゼの避難所だ。
厩舎に行っても会えない。
おそらく馬房掃除は皆で一斉にやるはずだ。
すると、クレアは1人、本当に何もする事がなかった。
こんな事、今まであっただろうか…
エルヴィンが内地に行き不在にする事が多いのと同様に、幹部であるリヴァイやハンジが不在にする事もゼロではなかった。
ハンジが不在にすればモブリットもついて行くためクレアは1人だったが、今まではフレイアがいた。
フレイアが死んでからも、幹部が不在になればエルドの指揮下に入って訓練をしていたし、デイジーだっていた。
リヴァイもハンジもいない。エルド達もいない。デイジーもいない。
いないずくしだ。
クレアは調査兵団に入ってからは、昔に比べると社交的にはなったが、やはりあまり自分から話かけて交流を広げるという事は苦手なため、親しくできる相手としかあまり絡みはなかった。
決して話す相手が1人もいないわけではない。
しかし、彼らが全員不在となると、途端にクレアは1人ぼっちになってしまった様な気分になった。
この部屋はこんなに静かだが、トロスト区内は巨人の襲撃を受け、まだ被害は色濃く残っている。
クレアは立ち上がると兵服に着替えて部屋をでる。
向かったのは毎朝必ず行く大切な場所だった。