第44章 その奇行種、舞姫
つい数日前の朝に執務室で致していた為、ご無沙汰と言うわけではないが、なにせあの奇行種クレアの好戦的な表情だ。
あんなモノを見せられて大人しく黙っていろ言うのが無理な話だ。
ここは皆には悪いが強行突破を取るしかなさそうだった。
「おいハンジ、今日はわざわざ俺のために皆を集めてもらってすまなかったな。悪いが先に失礼させてもらうぞ。」
「えぇ?もう帰っちゃうの?なんでさー?」
ブーブーと口を尖らせていたハンジだったが、リヴァイの言いたい事が分からない訳ではない。
「んな野暮な事は聞くなよ……クソメガネが…」
「ふん、ふーんだ。わーかったよ。クレアも連れて行くんでしょ??ほら、クレア?リヴァイが帰るってよ?」
「え?私と兵長だけですか??」
クレアは美味しいと言っていたチーズのオードブルの残りを頬張りながら問いかける。
「お前まで野暮な事言うな、ホラ、さっさとコレを着ろ…」
そう言うと、リヴァイはハンガーにかけてあったクレアのコートや帽子を手渡し直ぐに着るよう促した。
「あ、あの、でも…」
皆自分達の関係を知っているとはいえ、この場を2人で去るのはいかがなものかと考えてしまったが、ハンジ達はまったくお構い無しだ。
「今日はリヴァイの誕生日だからな。」
「あとは2人っきりで仲良くどうぞー♡」
もう行った行ったとばかりに手を振られてしまった。
「悪ぃ、じゃあまたな…」
リヴァイは不器用なりにも自身の感謝の気持ちを伝えると、クレアを連れて店を後にした。