第42章 鎮魂花(ちんこんか)に想いを乗せて
「へ、あ、い、いえ、あ、あのですね!!私は正規の使用方法のみで十分でございますので!!!」
明らかに悪い表情をしているリヴァイに、クレアは慌てふためき受け取ったカギを落としそうになるが、なんとか握り直すと大切にポケットにしまった。
「なんだよ、それは残念だな…」
心底残念そうにすると、リヴァイは机の上の書類をまとめて端に寄せ、クレアの手を取った。
「…!?」
「今日はもう何も予定はないんだろ?なら俺の部屋に来い。さっきの続きだ。」
「え?えぇ?!」
あまりにもストレートな誘いにまた慌てふためいたクレアは、思わず後ずさりしようとするが、リヴァイは逃さないとばかりに腕を腰にまわすとグッと引き寄せて身体を密着させた。
「まだお前が足りない…」
「で、でも兵長…今、したばかりです……」
いきなり2人の距離がゼロになってしまい、クレアはドキドキと心臓の鼓動を早くさせると、消え入るような声で抵抗を試みる。
「ハッ、あんなんで足りるかよ。」
しかし、そんな抵抗などいともあっさりとあしらわれてしまった。
「明日はミケと一緒に孤児院まで行くんだろ?休みが明ければまたお前は訓練で、俺はクソみてぇに山積みになった仕事をしなければならない。」
「………兵長…」
「だから今しかないだろう。」
熱のこもった視線で見つめられ、自分達に限られた時間は極僅かだと言われてしまえばもう言い返す事はできない。
「う……は、はい……」
クレアは恥ずかしがりながらも肯定の返事をして見せた。
「あ、兵長。でも明日私朝早いんです…ですから…その…お手柔らかにお願いしたいです…」
上目遣いで懇願する姿は今すぐにでもメチャクチャにしてしまいたくなる程可愛い。
「そうか…善処しよう。」
リヴァイは曖昧に返事を濁すと、クレアの手を引き執務室を後にした。