第42章 鎮魂花(ちんこんか)に想いを乗せて
「………ん。……あ、あれ?」
クレアはカーテンの隙間から入り込む朝日で目を覚ますが、なんとも言いがたい気怠さと、頭痛が襲った。
「う…ん…頭、痛い……」
頭が痛い上に目の周りが酷く重い…
最悪の目覚めだ。
なんでこうなったのかクレアは横になったまま今一度記憶を手繰り寄せてみる。
そうだ…
昨夜は壁外調査のあと、兵長が心配して訪ねてきて来てくれたのに、色々と自暴自棄になって、暴れて、喚いた挙げ句、寝落ちするまで泣き叫んだのだ。
「はぁ……」
なんて事をしてしまったんだ。
クレアはリヴァイに謝りに行かなくてはと勢いよく起き上がるが、ズキンと頭が痛み思わず目眩を起こしてしまった。
自分でも想像できない程泣いたのだろう。
目の周りが重いのはきっと腫れてるせいだ。
ひとまず顔を洗いに行こうとゆっくり起き上がると、自分の隣にはハンジが大の字になって兵服のまま逞しく眠っていた。
「な、なんでハンジさんがここに……」
スースーと寝息を立てて眠っていたが、クレアの声に反応したのか目を開けるとガバッと起き上がった。
「クレア!?お、おっはよう!!もしかして私がいてビックリしてる?してるよね?」
勢いよく飛び起きるとクレアの肩をがっしり掴み詰め寄るハンジ。
起きてすぐこのテンションになれるハンジが正直羨ましい。毎朝リヴァイの仕事を手伝うため早起きをしているクレアは、特別朝は弱くはなかったが、このテンションは流石に無理だった。
「ハ、ハンジさん…おはようございます。確かに私は今、ビックリしております……」
「ビックリさせてごめんね。事情を説明したいんだけど…あぁ…ちょっと待っててね!!」
ハンジはピョンッとベッドから降りると、一旦クレアの部屋を出て行ってしまった。
「ハンジさん…」
いったいどこに行ったのだろうか…
待っててと言われたクレアはただ待つことしかできなかった。