第41章 奇行種の瞳が映したモノ
口数の少ないリヴァイの深い優しさに触れて、エルドの両目からはボタボタと大粒の涙がこぼれた。
「す、すみません…すみません…リヴァイ兵長…」
愛していたフレイア
もう帰らぬ人となってしまったフレイア
看取ることができなかった
遺体を持ち帰る事もできなかった
それは兵士となった以上受け入れなければならないあたりまえの事だ。
しかし、あんなにも取り乱してしまった自分をリヴァイは一切責めなかった。
それだけではなくただ黙って側にいてくれている。
それ以上の慰めなどない。
エルドはベットの縁に背中をつけて座り直すと、歯を食いしばりながら涙を流し、酒を煽った。
その酒は涙と混じり美味いのか不味いのかさっぱり分からない。
でも、何も言わずに黙って自分の側にいてくれるリヴァイ。
人類最強と言われているリヴァイにこんな事をさせてしまっているのだ。
いつまでも泣き言を言ってないで一刻も早く兵士としての自身を取り戻さなくてはとエルドは考える。
でも、今だけは許されるだろうか……
「すみません、兵長……夜が明けるまでいいです…泣くのを許して下さい…」
「あぁ…かまわない……」
静かに涙を流しながらエルドは心から祈る。
愛しいフレイアの魂が迷うことなく天(そら)へと昇り、美しく瞬く星になれるようにと……
そしてエルドは願う…
心から愛していたフレイアが、天の上からいつまでも自分の事を見守っていてくれますようにと……
エルドは祈り、願いながら、フレイアへの想いを高い高い天へと送り、夜が明けるまで涙を流し続けた。