第2章 残酷なきっかけ
クレアが目を覚ましたのは翌日の朝だった。
半日以上ぐっすり眠ったおかげかすっと身体を起こすことができた。
両足はまだ痛みがあったが、動いていた方が気がまぎれるため、診療の手伝いを申し出ることにした。
人手が足りていなかったのか、医療の心得のあるクレアは歓迎され診療の手伝いの許可がでた。
診療所内には重症患者もおり、治療や外科処置、包帯交換や消毒、休む間もなく働いた。
そして数日後、今回被災した未成年の行き先が決定する。
12歳未満は孤児院へ
12歳以上は開拓地か訓練兵団へだった。
訓練兵団を希望した場合は先月入団したばかりの102期生への編入入団が特別に許可されるそうだ。
クレアは15歳。となると選択肢は2択だが、クレアはどうしても開拓地には行く気になれなかった。
開拓地で働く生産者は人々の生活を支えるりっぱな職業だ。しかし、人には向き不向きがある。
毎日淡々とした農作業を繰り返す開拓地での生活はクレアには耐えられそうにはなかった。
だからといって、これといった志のない者が訓練兵団行くのも疑問が残る。
クレアには多少医療の技術があるものの、まだ15歳。自身で就職先を探してやっていく自信も気力もない。更に人付き合いも苦手ときている。街での就職は不可能だ。
となるとやはり訓練兵団への入団しか行く先はなさそうだ。
自らの意思で入団した訓練兵とは熱意に差はでてしまうだろうが、両親は死んでしまい行く所がないのだ。
この際、兵士としての志うんぬんは勘弁してもらおう。
他に身寄りのないクレアにとっては厳しい訓練の日々で少しは悲しさも紛れるのではなかろうか。
そんな淡い期待を胸に訓練兵団への編入入団を決心した。
将来は両親の診療所を継ぐはずだったクレアは、両親の死という残酷なきっかけで大きく運命を変えることとなった。