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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第38章 “キミ”という存在






一方タリアはモブリットの姿が見えなくなるまでその背中に手を振り続けていた。


きっと、きっとまた会えますように……


次の壁外調査はいつ行われるのかは分からなかったが、タリアはそう願わずにはいられなかった。







店の中に戻ると数人の娼婦が接客を終え、待機部屋にいた。


「あら、みんなお客さん待ち?」


「はい、私達ちょうど今終わった所なんです。」


「そうなの?そしたら私少し出てくるわね。」


まだ酒場で飲んでいる客を引いてこようと、タリアは髪や化粧を直し身支度を済ませると店の入り口まで出ていった。




──カチャ──



店の隠し扉を開ければカウンターに座っている店主の後ろ姿が見える。


「ママ、女の子が接客終えて4人待機してるの。だから私、客引きに行ってくるわね。」


すると、振り返った店主が、少し不機嫌そうに口を開いた。



「タリア、あの若い兵士が気になるのか?」



「……えっ?!」



まさかの図星をつかれ、言葉が出てこない。



「ハッ、分かりやすい反応だな。まぁお前もいい歳だ…別に止めはしないけどな。」



「…え?それってどういう事…?」



タリアには店主の言ってる事がいまいちよく分からなかった。



「なんだ?!好きなんじゃないのか?あの男のことが。」



一瞬ピクリと反応するが、タリアの表情はかたい。



「……マ、ママはそう思うの??」



「戯(たわ)けた事を言うな。自分の事だろう?」



「だ、だって、分からないわよ…男なんて、好きになった事無いんだから……」



「それもそうだな…まぁいずれ悟るだろう。」



「………」


自分がモブリットの事を気にかけていることは自覚していた。
しかし、恋も知らずに娼婦の世界に身を投じてきたタリアにはこれが恋なのかいまいち分からなかった。


店主の言うとおり、いずれは悟るものなのだろうか…


答えが分からないまま店をでると、客になりそうな男がいそうな酒場へと足を運ぶ。


ふと空を見上げれば満天の星だった。


真っ暗な空にキラキラと控えめに輝く小さな星はモブリットの優しい眼差しとよく似ていて、思わずため息が漏れてしまう。



いつかこの気持ちに答えが出ることを願って、タリアはいつもの様に酒場に客引きへと向かった。



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