第35章 そしてリヴァイは考えた
新兵が入団してからまもなく2ヶ月と少しがたとうとしていた。
入団したての頃は訓練兵団とはガラリと変わった訓練内容に息を上げていた新兵達であったが、最近ではうまくこなしている様にも感じられる。
予備馬の調教で音を上げる新兵も、もういなくなった。
そして、着実に成長の姿を見せている新兵たちに、先日壁外調査の日程が、各班長より告げられた。
昨年と同様1ヶ月後の7月中旬だ。
やはり、壁外調査の日程が決まると皆それぞれに思う所があるのか訓練の打ち込み具合がより一層高くなる。
だが、やはり新兵だ。
ガムシャラに訓練に打ち込んでも、それ以外の時間ではふと我に返り不安がこみ上げ、気持ちが不安定になる者も出てくる。
でもそれは毎年のこと。
各班長やベテラン兵士は訓練で無理をしたりしない様目を光らせていた。
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「毎年この時期は新兵の初陣が決まるから、みんな色んな意味でピリピリしだすよねー。」
夜、ハンジはソファにうつ伏せになりながら本を読み、なんとも呑気な事を言っていた。
「それは当たり前ですよ。私も昨年は少なからず緊張感ありましたから…」
「確かに!私も新兵を入れるのは久々だったから色々心配したよ……それに、予備馬の調教がうまくいかなくて焦ってたりもしてたね!!」
「ハンジさん!それは私の情けなさすぎる黒歴史なので思い出させないで下さい!!」
「クレアも昨年は新兵だったんだよな。なんだかもっと前のような気がするな。」
モブリットはハンジに押し付けられた書類に目を通しながら声をかけた。
「そうですか??」
ポタポタと精製されてく媚薬を見つめながらクレアは答えた。
「それだけクレアの討伐力が素晴らしくて逸材だということだ。最近は新兵に悩みを相談されたりはしないのかい?」
「そ、それは……」
モブリットの言葉を聞いた途端クレアの顔が急に真剣な表情に変わった。