第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
翌朝、5時頃に目を覚ますと、フレイアを起こさぬよう、そっと着替え、身支度をし、リヴァイの執務室に向かう。
外はまだ薄暗い。
足音をたてぬように静かに廊下を歩き辿りつくと、預かっていたカギで中に入る。
部屋の中には簡易キッチン、大きな机、応接ソファーセット、本棚には難しそうな本が並べられており、立派な執務室だった。
すると、簡易キッチンの隅にバケツや雑巾など、一通りの掃除用具が用意されている。
これを使って掃除をしろという事なのだろう。
「よし、さっさとやってしまおう!」
クレアは口元に布をあて、腕まくりをする。
気合いを入れて、まず窓を開けてはみたが、執務室はそんなに掃除が必要な程汚れてはいない。
むしろこのまま何もしなくても変わりはないのではと思ったが、昨日の「ナメた掃除しやがったら……」のセリフを思い出し、一通りの掃除をこなす事にした。
掃除の基本は上から下に。
まずはカーテンレールや窓、棚の上から埃を落とし、水拭きをしていく。
机の上の書類や応接セットのテーブルに置かれた敷物なども、全て動かし拭き取りをした。
水場の蛇口やドアノブ、上着掛けなどは、濡らした古紙を使いピカピカに磨く。
最後に床を掃いて雑巾をかければ終了だ。
時刻は6時半すぎ、掃除を終え、バケツを洗っていたところにリヴァイが入ってきた。
ガチャリ…
「お、おはようございます兵長。ちょうど今、終わったところです。」
するとリヴァイはくるりと部屋を見渡し、机の上や窓枠、桟にいたるまで目を光らせた。
手抜きなくやったつもりではあるが、無言でチェックをされるのは、なかなかいい気分ではない。
「……悪くない。明日からもしばらく頼んだぞ。」
そう言うとリヴァイは椅子に座り書類の整理を始めた。
これは、褒められたととらえて良いのだろうか?
ひとまず、朝から怒られるような事は免れ、クレアはホッとした。
そろそろ、朝食の時刻だ。
カギを返して、退室しようと思い声をかけた。
「兵長、カギをお返しします。私はこれで失礼いたしま………」
「それはスペアだ、お前が持ってろ…」
「え?!」