第6章 調査兵団入団
部屋を出ていこうとしたところで呼び止められた。
「ねぇ、マリア・コートニーって聞き覚えない…?」
「え…?」
言われた瞬間、よくわからなかったが、なんとなく頭の片隅では記憶しているような、でもはっきりと思い出せないような、もどかしい気持ちになった。
「あなた、3年前の超大型巨人がシガンシナ区を襲撃した時に、小さな女の子を助けなかった?」
「え、えぇ……助けたわ…」
「その子、私の年の離れた妹なの。両親を目の前で巨人に食べられて泣いていたところを、あなたに助けられたのよ。」
「え?…そ、そんな偶然って…」
「私はその日、友人と出かけていたの。家族の安否を確かめたかったけど、あの時は自分が生きて逃げ切れるかもわからない状態だったから……トロスト区の避難所で妹に会えた時は本当に驚いたのよ。」
「ごめんなさい…私もあの時襲撃にあって、小さな女の子を抱えて走ったところまでは覚えてるんだけど、その後の事、ほとんど記憶がないの。自分が名乗った記憶もなかったわ。」
「妹はしっかりあなたの名前も容姿も覚えてたから、訓練兵団で会ったときは、信じられなかった。何度も声をかけようと思ったんだけど、なかなかかけられなくて………お礼が今日になってしまったわ。改めて、妹を助けてくれてありがとう。」
「私はそんな……」
「ううん、本当に感謝してるの。妹は今孤児院にいるのよ。今度、一緒に面会についてきてくれると嬉しいわ。これも何かの縁ね。これからは仲良くしましょう!」
すっと手を出された。
迷わず握手を交わす。
クレアに人生で2人目の友人ができた。
その後クレアはすぐに風呂へ行き、寝る支度を済ませると、しっかりと髪に香油をぬり、眠りについた。
タフなクレアもさすがにクタクタだ。
速攻で眠りにつくことができた。
明日からはいよいよ調査兵団での生活がスタートだ!