第27章 リヴァイの想い
「ところで、お前は木の上にいたが、立体機動は無事だったのか?」
「あ、あの…ガスの漏れはありませんでしたが、左のアンカーが射出できませんでした。きっとあの衝撃で故障してしまったのかと…」
「そうか。そしたら出立は夜明けの直前だな。太陽が昇りきる前にトロスト区の門まで突っ走るぞ。」
「は、はい!」
「それと……怪我はないのか?」
リヴァイがまわした腕からクレアの身体をまさぐる様に怪我の有無を確認をすると、思わず身体がビクンと反応してしまった。
「兵長!!今はどこも痛くないので、大丈夫です!!なので、トロスト区まで、最高速度、問題ございません!」
「そうか…」
リヴァイは怪我がないか確認しただけだ。
ここは壁外なのだから他意は無いはずなのに。
自分の身体がリヴァイの手の動きにドキドキと反応しまうと、そんな自分に恥ずかしくなりクレアはフードをかぶり直してしまった。
今いる位置はちょうど良く月明かりが差し込み2人を照らしている。
どうか赤くなった顔がリヴァイに見られませんように…
クレアはリヴァイの温もりを全身で感じながら俯いてしまった。
リヴァイはクレアに怪我が無いことが確認できると、ダスゲニーとデイジーの様子を見に立ち上がった。
クレアもつられて立ち上がる。
「2人とも…心配かけてごめんね…」
クレアは2頭の額を優しく撫でてやると、水の入った袋を取り出し、手のひらから少し飲ませてやった。
2人で2頭の脚の状態を確認するが、明日の出立には問題はなさそうだ。
するとリヴァイが荷物から野戦食糧を取り出し半分に折ると、ヒョイっとクレアに投げる。
「食っとけ…」
「あ、ありがとうございます…」
今の時点で空腹感はなかったが、明朝になって動けなくなっては大変だ。クレアは、特に美味しくもない野戦食をポリポリと口に入れると水で流し込んだ。