第6章 調査兵団入団
途中食事処で昼休憩をはさんだため、調査兵団本部についたのは、昼過ぎだった。
兵門が見えてくると数人の調査兵が待っていた。
「みんな、遠路ご苦労だったね。厩舎の準備はできてるからついてきてくれ。」
新兵たちが下馬すると厩舎に向かって歩いていく。
すでに馬房にはおがくずが敷いてあり、水、飼い葉も用意されていた。
クレアはデイジーを馬房に入れて水を飲ませてやると鞍をはずし、馬装解除をした。
次に馬具倉庫に案内されると、デイジーと書かれたスペースがあり、鞍をかけ、バケツに入った手入れ道具などを整頓した。
全員が片付け終わると玄関には5人程の調査兵が待っていて、兵服を配る準備をしていた。
自由の翼がえがかれた兵服だ。
クレアもこれで調査兵の仲間入りだ。
クレアの番になり目の前の女兵士に挨拶をする。
「クレア・トートです。宜しくお願いします。」
「こちらこそ宜しくね、あら、あなたずいぶんちっちゃいのね。フフ、これで大丈夫だと思うけど。あ、それとちょっと待ってね、あなたの部屋はえーと……女子棟の12号室ね。2人部屋よ。」
「ありがとうございます。」
指でさされた方向に歩いていこうとしてら、別の兵士に声をかけられた。
「ねぇ、君がクレアだね。団長が呼んでるからきてくれるかい?案内するから。」
「え?!は、はい。」
団長が自分のような新兵になんの用だ。
疑問に思ったが、黙ってついていくしかなかった。
幹部棟に入ってしばらく歩いたところにエルヴィンの執務室はあった。
コンコン!
「クレア・トート、連れてきました。」
「入ってくれ」
「失礼します。」
2人で挨拶をし団長室に入ると、付き添いの兵士は、私はこれでと出ていってしまった。
──バタン──
入団したばかりだというのに調査兵団のカリスマ的団長と2人きりになってしまった。
なんだ、何を言われるんだ…
クレアはジトリと脂汗をかいた。
なんだ。
なんだ。
これは蛇に睨まれた蛙か?
いや、私は別に睨まれているわけではない…
思考がおかしくなっている。
とにかく頭がパニック状態だった。
するとエルヴィン団長がイスから立ち上がり、クレアの方に近づいてきた。