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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第25章 想いの果てに





「え……」


コツコツとヒールの音を響かせ近づいて来たのは派手なサテン生地のドレスを着た女であった。
きっとこの辺の娼館の客引きであろう。
しかし問題はそこではなかった。


「お兄さん?お一人ですか?」


その女はモブリットの返事を聞く前に隣のイスに座ると、深くスリットの入った脚を組んでみせた。


いつもなら必要ないとあしらうところであるが、うまく言葉が出てこない。


「お兄さん、調査兵団の兵士さんですよね?そして、今宵は想い人にフラれてしまって1人飲みってことろでしょうか?」


「……なぜそんな事がわかる。」


図星をつかれたモブリットは目を見開きながら絞り出すように答えた。

一方目の肥えた娼婦の女からしてみれば、客になりそうな男などひと目見ればわかる。
明らかに目の前にいるこの男からは女が必要であるオーラがだだ漏れであった。


「こんなに逞しいんですもの。厳しい訓練を受けている兵士の方しか考えられません。それに…こういう商売をしていると、分かるんです…」


「……何がだ?」


「女を必要としている男が…ね。」


女はモブリットの腕にすり寄りその豊満な胸をすりつけるといたずらにウインクして見せた。


「ねぇ、今からウチのお店に遊びに来ませんか?ウチのお店は少し料金高いけど、絶対にお客様の事は外に漏らしません。口の硬さは折り紙付きです。それに、もう1つ、自慢が……」


女はモブリットの耳元に顔を近づけると小さな声で囁いた。


「ウチのお店は昼間は仕立て屋を経営しています。だから…夜の商売で使う衣装も豊富に用意してあるので、今宵はあなたのお望み通りの女の子を用意する事ができます。」


「!!!」


「しかも、お望みの衣装が無ければ待機している者ですぐに仕立ててご覧にいれますよ。いかがですか?」

「本当に…どんな格好でもしてくれるのか…?」

何を言ってるんだと、自分自身の耳を疑いたくなるが、今日の自分はどうかしているのだ。
まだ酔うほど飲んではいないが、モブリットはなんとなくこのまま流れに身を任せてみたくなってしまった。

「はい、今の所、気に入らなくて帰ったお客様は1人もいません。」



「そうか、分かった。でも条件がある。」



そう言うと、モブリットはその女の目を見つめながら条件を話した。




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