第4章 懇願
「………………」
「聞くまでもないと思うが、来春から調査兵団、ハンジ班としてやっていく気はあるか?」
クレアは目を潤ませながら起立し直し再度拳を胸にあて敬礼をした。
「も、もちろんです!クレア・トート、この命の限りハンジさんの班で戦う事を誓います!」
「…わかった。このことは内密だからくれぐれも口外するなよ。まぁ、特例の噂は口外しなくても、漏れるときは漏れるがな。用件は今伝えた通りだ、異論がなければ訓練の準備にむかえ!」
「はい!」
一礼するとクレアは教官の執務室を後にした。
やった…
やった…
やった…
ついに叶った!ハンジさんの班で働ける!
やっと、やりたい事が見つかった!
「いやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
嬉しさが爆発し、思わず執務室のまえで雄叫びを上げてしまった。
すると、今しがた閉めたばかりの扉が勢いよく開き、頭上からゲンコツが落ちてきた。
ゴツンッ!!!
「おい!内密にと言ったのを聞いていなかったのか!内定取り消しにされたいのか!」
「ひっ!ず、ずびばぜん……」
クレアは頭を押さえ、逃げるように訓練場へむかった。
ジンジンと痛む頭を押さえながら外にでると、冷たい風が身にしみたが、空は晴れわたり、絶好の訓練日和であった。
心なしか太陽もクレアの調査兵団入団を喜んでくれているようにも感じる。
卒業まであと約3ヶ月!
悔いの残らぬよう訓練に打ち込む決意をしたクレアであった。