第19章 大雨と雷鳴とハンジ班の奇行種
「うっ……うっ…」
クレアは両手で、目を擦りながらメソメソと泣いているはないか。
「おい…どうした。」
リヴァイはがっつきたい気持ちを抑えながら慎重に進めていたつもりであったが、いったい何がクレアをこんなにさせたのだ?
今まで快楽で女を鳴かせた事はあっても、情事の最中にこんなメソメソと泣かれた事などなかったためリヴァイは相当戸惑った。
しかし、ペタンと座り込み泣いているクレアの姿はまるで芸術作品のように美しい。
嵐のせいで月は隠れてしまっているが、クレアの白い肌に艶めく長い髪、蒼い瞳は暗がりでも十分に輝きを帯びており、抱きしめたくなる衝動を抑えることなどできない。
リヴァイはベッドの隅に畳んであった毛布を広げてクレアにかけてやると優しく抱きしめてやった。
「悪い……そんなに嫌だったか?」
見る限り、そんなに嫌がってる様には見えなかったが、泣いてる理由がわからないことにはどうしようもない。
すると、優しいリヴァイの声に安心したのか、クレアは涙声で話し出した。
「ごめんなさい…嫌ではなかったんです…」
「じゃあどうしたって言うんだ?……気持ちよくなかったのか?」
ここでそれを肯定されてしまうと、男としてのプライドが崩れ落ちるが、この状況を打破する為には必須な質問であるが故仕方がない。
「ち、違います!……気持ちよかっです…でも…でも…」
「でもなんだ……」
「気持ちよぎて……どうしたらいいかわからなくなっちゃったんです……本当におかしくなっちゃうかもって思ったんです…」
……いや、それは結構なことじゃねぇかよ…
「クレア…今しようとしてたのはそういう事だ。別におかしくなったって構わない。もう一度してやるから今度は素直に善がってろ……」
「…………はい。」
クレアは一度頷きはしたが、まだ何か言いたげにこちらを見つめている。
「なんだ?なにか要望でもあるのか?」
「あ…あの……は、初めてなので…あまり気持ち良くならないようにしてください……」
…こいつはいったい何を言ってやがる…
リヴァイはこの愛しい奇行種に呆れ果て、ため息が漏れそうだった。
「おい奇行種…それは無理な相談だ…限界まで善がり狂ってもらわなきゃ俺は満足しないからな…」