第18章 奇行種、リヴァイとディナー
──兵長が好き──
たったこれだけの言葉だというのに、どうしてでてきてくれないのか。クレアはもどかしい気持ちにやるせなくなり、空を見上げてしまう。
薄い雲が広がった夜空からは雲に隠れた三日月がぼんやりと光っていた。
一方リヴァイは、今日のクレアの事を考えていた。
服屋に連れて行った時は色々と戸惑っていたが、レストランでは、楽しそうに食事をしていた様に見えた。
クレアの好みや昔話も聞けたが、まだまだクレアの事を知りたい。今日の雰囲気から察するに、また誘ってもおそらくは問題ないだろう。
本当なら強引にでも自分のものにしてしまいたいが、エルド達のアドバイスを忠実に実行するならば、まずはお互いの気持ちを…なんて言っていたな。
自分の気持ちは明確であったが、クレアの自分に対する気持ちがまったく不明だった。
ここは、焦らず次のデートに誘うのが吉であろうか。
「クレア」
「は、はい!」
ぼんやり空を眺めていたクレアが慌ててリヴァイを見た。
「時間ができたらまた……」
………また今度一緒に出かけないか?
そう言おうとした時だった。
ポツ…ポツ…ポツ
「あ、雨でしょうか?」
まさかのタイミングで雨が降ってきた。
ポツポツポツポツポツポツポツポツポツ
「キャッ!」
2人の雰囲気に水をさすかの様に雨足は強くなる。
「チッ!とりあえず兵舎まで戻るぞ。」
リヴァイは着ていた上着を脱いでクレアの頭にかけると、2人は兵舎に向かって走り出した。