第16章 奇行種、奮闘
──カラーンコローン──
トロスト区の門前では調査兵の整列が済み、開門するまでもう間もなくであった。
「開門30秒前ーーー!!!」
エルヴィンの号令にみな緊張が走る。
「クレア、大丈夫?」
ニコリとハンジに声をかけられた。
前回の初陣では被害は小規模だったにもかかわらず、クレアは、目の当たりにした被害や犠牲者に対して、まだまだ未熟な精神状態をハンジにさらしてしまった。
しかし、今回は違う。
どんなに苦しい極面に遭遇しても、必ず自分は生きて戦う。未熟だった心には別れを告げてそう誓ったのだ。
それにリヴァイとのことだって解決していないままだ。
何が何でも生きて戻ってこなくては。
「はい!前回の帰還後には恥ずかしいところを見せてしまいましたが、もう今回は大丈夫です!」
「よし!それでこそ奇行種クレアだ!」
ハンジはクレアの頭をガシガシ撫でた。
「ハ、ハンジさんまでぇ……」
「これより、壁外調査を開始する!総員進めーーー!」
102期入団後、2回目の壁外調査が始まった。
────────────────
今回の任務はトロスト区から1番離れた場所で、設営途中になっている拠点の完成だ。
ウォールローゼ奪還までのルートを拠点を設営しながら徐々に進めてはいるが、それでもシガンシナ区まではまだまだかかるそうだ。
気の遠くなる話ではあるが、調査兵団は巨人によって奪われた土地を取り戻すために、今できることをやっていくしかないのだ。
「モブリット、クレア!索敵の取りこぼしだ!戦闘入るよ!」
「「はい!!」」
荷馬車班は、拠点の設営に必要なものを沢山積んでいるため、巨人を陣形の内側に入れる訳には絶対いかない。
ハンジ班は索敵の取りこぼしと思われる巨人を片っ端から討伐していった。
──バシュッ──
──ザシュッ──
「ひゃっほー!クレア!ナイス討伐!」
「分隊長!ここは壁外です!もう少し落ち着いて下さい!」
モブリットの
突っ込みが入りながらも3人は設営途中の拠点まで向かった。
少し遅れて拠点につくとそこは旧市街地であった。
どうやら古い牧場の跡地を利用して、拠点を設営する予定のようだ。
馬から下りると、クレアは早速エルヴィンから声をかけられた。