第13章 奇行種、ハンジと入浴
壁外調査の後の幹部達は特に忙しい。
諸々の報告書に、次回の予算編成、資金めぐりに王都での会議など盛り沢山だ。
その合間に、死亡した兵士の実家に赴き遺品を渡したりなど、1ヶ月程はバタバタする。
ハンジも分隊長ということで例外なく忙しく、モブリットは副官としてハンジにつきっきりなため、クレアはしばらくリヴァイ班に入れてもらう形で訓練を再開するとこになった。
とはいってもリヴァイも幹部の人間だ。
リヴァイ班の訓練はしばらくの間エルドが指揮をすることになった。
クレアはオルオのいびりに少し警戒をしたが、リヴァイ班の精鋭達としばらく訓練ができるのだ。
またとないチャンスだと張り切り、訓練に精をだした。
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「クレアー!!」
訓練終了後、クタクタになったクレアはいち早く風呂に入ろうと急ぎ足で兵舎に戻ろうと思ったところで、フレイアから声をかけられた。
当然のようにエルドも一緒だ。
「お疲れ!!すぐお風呂いくでしょ?一緒に入ろう!」
「うん!いいよ!はぁ……エルドさんの指揮の訓練、厳しすぎてもうクタクタだよ…」
「ハハハ、そうだったかい?でもクレアは新兵なのによくついてきてたよ。さすがは主席卒業なだけあるな。」
「エルドさんの訓練、そんなにキツイの?なんかちょっとクレアが羨ましくなってたけど、撤回しとこう…」
フレイアは苦笑いだ。
3人で楽しく話しながら兵舎に向かっていたが、クレアは2人に話さなければならないことがあったのを思い出した。
「あ、あの!エルドさん!フレイア!ごめんなさい!」
「「え?!」」
急な謝罪に2人は顔を合わせて驚いた。
「2人が付き合ってるの不可抗力で兵長に話してしまいました…」
2人の顔色が一気に曇る。
仕方なくクレアはことの顛末をすべて話さざるを得なかった……
「そ、そういうことなら仕方ないが…」
確かにそんな勘違いをされては話すしかなかったのはわかるが、リヴァイもリヴァイでクレアのこととなると余裕がないのがうかがえる。
「まぁ…正直驚いたが、俺たち3人の中で変な誤解が生まれなかったならそれでいいから気にするな。」
エルドが、苦笑いをしながらクレアの肩をポンと叩いた。