第80章 最終章・もう1つの花言葉
季節は巡り…
海を見に行って4ヶ月がたつと、季節は夏から秋に変わろうとしていた。
クレアは医師としてこれまで以上に精力的に働き、全兵士の健康管理や日々の訓練で起こる怪我の治療など、大忙しな毎日を送っていた。
年配の医師もクレアのおかげで休みが増え、負担が減ったと大喜びだ。
ウォール・マリア奪還後の勧誘活動が功を奏したのか、調査兵団に編入してくる兵士も少しずつだが増えてきた。
シガンシナ区の復旧もだいぶ進み、壁内は活気づいている。
これからも編入してくる兵士は増えるだろう。
そうなればクレアは益々大活躍だ。
そんなある日のこと。
クレアが朝食を食べに食堂まで行くと、ちょうど104期のメンバーが席に着いたところだった。
「あっ!クレアさんだ!」
「おはようございます!」
「一緒に食べましょう!!」
「みんなおはよう。ここ、失礼しちゃっていいのかしら?」
「もちろんです!!」
ここ最近は朝から忙しく、クレアは兵士達の訓練が始まってから1人で朝食を食べる事が多かった。
そのため今日は久しぶりに賑やかな朝食だ。
「みんなと食べるの久しぶり。今日はナイスタイミングだったわ!」
年は5つも離れているが、彼らとは苦しかったクーデターにウォール・マリア奪還作戦を共に戦ったのだ。
編入兵士の数もだいぶ増えてきたが、クレアにとってこの6人だけは特別な戦友であった。
「最近の訓練はどう?キツくない?みんな無理してない?」
「最近は対人戦に加えて、それぞれの得意な分野を伸ばすような訓練をしてますよ。俺は…相変わらず対人戦は苦手っすね…」
ジャンは苦笑いをしながら答える。