第79章 海を見に行こう!
そう言って顔を上げたクレア。
「………」
その表情は目眩を起こしてしまいそうな程に眩しくて、美しい。
キラキラと光り輝きながら満面の笑みでリヴァイに“幸せ”だと言ったクレア。
じっとしていられない性格のクレアだ。
片脚を失って、1人で自由に行動できる範囲は限られしまい、心も身体も沢山の我慢を強いられてきたはずだ。
それでもひたむきに努力をし、自分らしく生きようとしている。
満面の笑みの裏側に存在している芯の強さを目の当たりにしたリヴァイは、蒼い瞳に引き寄せられるように勝手に足が動いてしまった。
そしてびしょ濡れになってしまったクレアの手を引き、思い切り抱きしめた。
「あっ……」
「………………」
すっぽりと腕の中におさまったクレアをさらにキツく抱きしめて、その存在を確かめる。
クレアが1番大切で
自分の全てがクレアを中心に動いていて
クレア以外で幸せを感じることは無い
こんなに小さくて壊れてしまいそうな程か細いのに、クレアはいつだって最大級の幸福をもたらしてくれる。
愛しくてたまらないと…思わない方がおかしい。
「クレア……」
「あっ…あの…兵長…?!」
大切なクレアを満面の笑顔ごと抱きしめたリヴァイは、愛しく想う気持ちが溢れてついつい唇を奪いたくなってしまったが、そこでようやくある事に気付く。
「…………」
ここが、104期達やハンジもいる海のど真ん中だという事に……
ふと我に返り周りを見れば、口をポカンとあけてフリーズしているジャン達にニヤニヤと悪い笑みを浮かべているハンジ。