第79章 海を見に行こう!
自分達の代だけではなく、自分が死んで、何世代にも渡り時を重ねても、この景色を見る人全てが“美しい”と感じれる場所であって欲しい。
リヴァイは自分が兵士として、まだまだ戦わなければならない事を改めて感じたのと同時に、この100年、狭い壁の中で不自由な生活を強いられてきた人類の事も考える。
そして、愛しいクレアの事も…真剣に考える。
目の前にいる、この海に負けずとも劣らず美しいクレア。
小さな身体で、片脚を失っても自分の力で立ち上がり、人のために尽くそうと懸命に命を燃やしている。
身体の不自由なクレアでも、自由に海を見に行ける…そんな世界になって欲しいと、心から強く想う。
クレアには天寿をまっとうし、幸せだったと、後悔の残らないような人生を歩んで欲しい。
そのためならどんなに厳しい戦いだって…挑んでみせる。
そんな事を考えていたら、沖を見つめていたクレアがゆっくりとリヴァイの方に振り返った。
「……どうした?」
「ずっと見ていたいくらい美しい景色なのですが…ちょっと脚が痛くなってきてしまいました。」
少しはにかみながらそう言ったクレア。
片脚でずっと立っているのは普段身体を鍛えている兵士でさえキツイ。
いくら片脚での生活に慣れてきたクレアといえど、15分程度が限界だろう。
「無理するな、ほら…1回上がるぞ。」
「はい…」
リヴァイはクレアの手を取り海を上がろうとしたのだが……
「あっ…!!!」
バランスを崩したクレアはフラフラとよろけると、リヴァイの手を離して盛大に尻もちをついてしまった。