第77章 自称・約束を守る誠実な男
クレアが目を覚ましてから数日たつ。
その間に何度もクレアの生還は実感したが、身体を重ねて初めて実感できるモノもあるのだ。
息を上げながらも、緩く弧を描いている小さな唇。
向かい合って重なった胸から感じる自分よりも少し速い心臓の鼓動。
しっとりと汗ばんでいる白くて熱い肌。
そのどれもが狂おしい程に愛しくて、生きている事が喜ばしくて、リヴァイは堪らずギュッと力強く抱きしめた。
目を覚まさない間、高熱で苦しそうにうなされているクレアを見て、もう駄目かもしれないという考えが頭をよぎった時もあった。
でも、今は…身体を重ねた疲労感に身を任せて気持ち良さそうな寝息を立てている。
そんな奇跡のような現実にリヴァイは改めて互いの“生”を実感すると、目頭から熱いものが込み上げてきた。
「……今、目を覚ましたら怒るからな……」
自身の頬を伝う温かいモノの正体がわかっていたリヴァイはクレアの頭に顔をうずめながらボソリと悪態をつく。
「…クレア…好きだ…」
誰よりも愛しくて大切なクレア。
その想いは未来永劫変わる事はない。
キンモクセイの香りに誓った想いを、何度も心の中で唱えながら、リヴァイはクレアの寝息につられるように眠りについた。